空き家になった田舎にある実家、かつてのブームで購入した別荘地やリゾートマンション、道路に面していない建物、市街化調整区域の農地、場所がわからない山林・・・
このような価値がつきにくい不動産は、世間では『負動産』と呼ばれることがあります。しかし、どのような不動産であれ、所有していれば相応の費用も発生し、管理の責任も負わなければなりません。
とはいえども、簡単に手放せるものではない…
「このまま相続して、子どもに負担をかけさせたくない」
「費用を負担し続けるのはもう止めにしたい」
「なんとかして手放すことはできないだろうか」
このように思われて、不動産会社や専門家に相談したあげく、「うちでは取り扱いできません」「この不動産は売れません」「このまま持ち続けるしかありません」と言われることのある方も多いのではないでしょうか。
しかし、近年、負動産は処分しやすくなりました。
すなわち、インターネットの発達や法整備が進んだおかげで、以前よりも負動産の処分が格段と簡単になったんです!
<目次>
1.負動産の処分はできない!?不動産会社の対応は?
今、あなたは負動産の処分が「できない」と考えていますか?
そう考えているとすれば、それはなぜですか?
負動産の処分ができないと思ってしまう理由の一つに、不動産会社の応対の仕方にあります。
不動産仲介会社は基本的に「価格の低い物件」や「手間がかかる物件」、「不透明な背景をもつ物件」を扱いたくないと考えています。どうしてかわかりますか?
不動産仲介会社のメインとなる売上は仲介手数料です。
仲介手数料は、物件の成約価格の3%+6万円+消費税を上限に請求できます。
(低廉な空家等(物件価格が800万円以下の宅地建物)の媒介の特例に該当するものはこの料率に該当せず30万円+消費税が上限になります。空き家等に係る媒介報酬規制の見直し:国土交通省)
また、不動産仲介会社が物件を任された場合の表面的な業務(調査、販売活動、契約、決済など)については、不動産価格に関わらず、ほぼ変わりません。
しかし、不動産の調査業務や契約書類の作成については、違いがあります。
高い価格のつく不動産やマンションは買主に告げるべき重要項目も少なく、スムーズに調査できることが多々あります。
一方で、不動産価格が低いものは、不動産の状況が複雑であることも多く、そのような場合には、より労力がかかってしまいます。かつ、買い手がつきにくい不動産だと、長い目線で販売することになりますので、その分、販売活動に伴う広告料、人件費など費用もかさんでしまいます。
つまり、ポイントだけ抽出すると…
受け取れる利益・・・不動産価格が高い方が多くもらえる
業務の内容 ・・・だいたい同じ
調査項目等 ・・・不動産価格が高い方が楽であることが多い
販売活動費用 ・・・不動産価格が高い方が少なく済むことが多い
もし、あなたが不動産仲介会社の人だったら、どちらの物件を預かり販売活動をしますか?
このような、不動産仲介業界のシステムがあるからゆえ、不動産仲介会社は負動産を扱いたくないと考えるのです。
そして、負動産所有者には残念なことに、大半の不動産会社はそのような考え方をしているものと思ってください。
少し話は逸れまして、誤解のないよう申し上げますが、これは不動産会社が悪いわけではありません。必死に処分をしようと動いている中、何も取り合ってくれなければ不動産会社を悪く言いたくなる気持ちも生まれてしまいます。しかし、不動産会社も民間の営利企業であり、利益をあげることに会社としての至上命題があります。そんなものだと思い、割り切っていただくのが一番良いかと思います。
本題に戻ります。
どこの不動産会社を回っても、いい顔をされなかったり、門前払いをされたりしてしまうのは、このような理由があるからです。
そして、どこでもこのような対応をされれば、それは「扱えない不動産」=「売れない不動産」=「処分できない不動産」だと思ってしまいますよね。
しかし、安心してください!
「扱えない」=「売れない」=「処分できない」ではありませんので!
2.世間のイメージって…例外はあるの?
確かに負動産といわれる不動産は「処分しにくい不動産」でしょう。
上述のように、不動産会社で「扱えない不動産」「売れない不動産」だから対応できないとなるケースが非常に多いうえに、空き家・相続問題を報道等により皆様の頭の中に負動産は売れないと刷り込まれているような気がします。
「負動産」という言葉が誰からも出てくるのですから、所有者にとっては全く迷惑な話であると感じます。
したがって、世間では負動産=「売れない」のイメージが定着しているのが現状でしょう。
これが、もう一つの負動産の処分ができないと思ってしまう理由です。
しかし、「負動産=処分できない」ではありません!
そして、負動産=「売れない」イメージをもつのは、買おうと思うことなく傍観している人であるということ。
世の中では、どのようなものであれ、安く買えるのであれば買いたいという方、それを必要とする方が一定数存在します。
それは、不動産でも例外ではありません。
例えば、
休日に趣味を楽しむ土地や建物がほしい
家庭菜園用に安い土地を探している
空き地を利用した事業を計画している
資材置き場を探している
など、様々な理由で格安の不動産を探している人はいるのです。
したがって、適切な金額設定とそれを求めている人を見つければ負動産の処分は可能なのです!
ご注意いただきたいのが、欲張らないことと根気強くいること。
本題に上がっている不動産は不動産会社に断られてしまう負動産です。
そして、探している人がいるといえども一定数と申し上げた通り多いわけではありません。
ですので、売却代金を得ることを目的として高値をつければ注目はされません。
また、すぐに売れたとしたらそれは相当に運がよかったのでしょう。あらかじめ、長い目をみた売却活動として視野をもっていただき、根気強くいることが大切です。
この先、20年、30年所有しなければならない…そして相続が続いてお孫さんの代にまでその負担が生じてしまうかもしれない…
あなたなら負動産をどうしますか?
3.負動産の処分に大事な心構え
負動産の処分につきましてまずは3つ質問をします。
Q1 負動産であっても、欲しいという人はいると思いますか?
Q2 ただ持っているだけで、突然欲しがる人が現れると思いますか?
Q3 「負動産でも欲しい」という方を探す方法を知っていますか?
質問の意図は、次の通りです。
Q1 負動産であっても欲しがる人がいると思い既に動いてらっしゃる方でしたら、そのまま活動していただければ大丈夫です。
しかし、「欲しがる人がいると思うけど何もしていない方」は、方法がわからず、調べる時間もなく、動くことができない方ではないでしょうか。
また、欲しがる人がいないと思ってらっしゃる方は、そもそも動かないですよね。
Q2 「突然欲しがる人が現れると思う方」は、結局何も動いていない方と変わりません。「突然は現れない」と思う方の動きは Q1 の説明のいずれかに該当するでしょう。
Q3 「探す方法を知っている方」は、①既に動いてらっしゃる方、②動こうとされている方、③時間を割けず動くにもなかなか動けない方、④負動産の処分を考えていない方、のいずれかでしょう。「知らない方」は、動きたくても動けませんし、時間がなく調べることができない人もいるかもしれません。
質問に対し、値付けは度外視した不動産業者目線で解答を示すなら次のようになります。
A1 います。
A2 ほぼ100%の確率で現れません。現れた場合、相当に運が良い方です。
A3 次節をご覧ください。
つまり、何が言いたいかというと、負動産の処分をするにあたり、次のような心構えをもってくださいということです。
欲張らないこと 根気強く動くこと
「何を当たり前のことを…」とおっしゃるかもしれませんが、
引き合いがない状態は、不安や疑問が生まれ諦める結果となります。
不慣れなことをするときは、成果や効果が現れないととても心配になりますよね。人生で数回の機会しかない不動産販売活動でましてや負動産といわれてしまう物件であれば、より一層不安にかられ、心配が生じますよね。
しかし、欲しがる人はいます。いつ出てくるかといわれたら断言できることではありませんが、運が良い方であればすんなりと見つかってしまうこともあります。
しかし、全てはタイミングです。忍耐強く動く(情報を出し続ける)姿勢が大切です。
そして、欲張らないこと。
基本的には不動産は高額なものなので、「少しでも手残りを得たい…」と期待を寄せてしまいがちです。でもちょっとまって!ここでの話は負動産についてですよね。
欲しいという人はいますが、多くの人が探しているというわけではありません。そして、探している方は血眼になって探しているわけでもありません。「あったらいいなあ」「なんかいいものあるかなあ」となんとなく探している方の方が大半です。
そのような中で、なんとなく探している人の注目を一度で引き、次のアクションにつなげてもらうためには、最初から欲張らないことがとても大切です。なんとなく見ている人は問い合わせて詳細を聞こうとすることはしません。読み流すだけです。
ゆえに、少しの欲張りでチャンスをみすみす逃すようなことはしないでください。
現在は運良くもインターネットも発達し、情報を載せれば物理的な動きは最小限に留められます。しかし、掲載内容以上の情報を相手に与えてはくれませんので、心構えを肝に銘じて、最初の計画、準備がとても重要になります。
計画と準備については、負動産でも扱ってくれる不動産会社と相談し、広告掲載等をしてもらってください。
不動産会社に入ってもらうということはもちろん費用等も発生し、話が入ってきた際にはそれに対応する措置を所有者負担でしなくてはならないこともあります。(※内容は各社異なりますので直接ご確認ください)
しかし、負動産を持ち続けることの出費と労力、お子様やお孫様などの世代に引き継がれてしまうことまで考えれば、取引時に多少のマイナスがでても、長いスパンで考えればプラスとなるはずです。
早期解決が何よりです!
4.負動産処分の方法
まずは、最初の計画、準備がとても重要です。
そのために、不動産会社や負動産処分に卓越した専門家の力を借りることをおすすめします。
専門知識や経験に乏しいことが当然でありますが、行き当たりばったりだと、時間も労力も費用も無駄に費やしてしまいます。
とはいえども、言われるがままに…は、不安にも心配にもなりますよね。
そして、「計画、準備が重要」といわれても、何があるのかわからなければ何もできません。
まず一つはこれまでの内容をしっかりと脳裏に焼き付けてください。
計画するうえでの前提の話でもありますので。
そして、もう一つはある程度どのような方法があるのかを知っておきましょう。
負動産の処分の方法は大きく2つの分野にわかれます。
それぞれの方法の概要、メリットとデメリット、具体的な方法を説明します。
なお、メリットとデメリットはあくまでも個人で動かれることを前提としています。
①地元アプローチ
地元アプローチは、対象不動産の近隣の方、もしくはなるべく近くのエリアの方に引き取ってもらう方法です。
例えば、隣接地所有者を調べて、引き取りをお願いしたい旨の内容を記載した手紙を送るのが一般的なやり方となります。
<メリット>
引渡し相手が地元の方なので、遠方に住んでいる方に比べ、トラブル発生の可能性が低い
比較的取り組みやすい
交渉等もしやすく短期間で処分できる可能性もある
<デメリット>
お隣の方も同じように手放したいと考えている
登記されている住所に手紙が届かないケースもある
お願いする立場になることが多いので、多少不利な条件を提示される可能性もある
<方法>
近隣のお知り合いの方を訪問し、引き取ってもらいないかお願いする
近隣地の所有者に手紙を送る
地域の有権者にお願いをする
市役所・町役場に寄付をしたり、引き取り手探しを協力してもらう
空き家バンクに登録する
etc...
②webアプローチ
webアプローチは、インターネットを活用して、対象エリアを問わず全国に引き取り手を募集する方法です。
以前は①の方法に頼るしかありませんでしたが、インターネットの発達により、広く多くの方に情報が届けられるようになりました。
<メリット>
多くの方に情報が拡散されるので引き取り手が現れる可能性も広がる
webページ掲載後はそのまま掲載され続ける(掲載サービスによって違いあり)
<デメリット>
遠方地の方との交渉になりやすいので、近接地の方ほどの安心感はない
不動産取引に慣れた人も多く、不利な条件を提示される可能性もある
掲載するにあたって一定の費用がかかることもよくある
<方法>
空き家バンクに登録する
家いちばに登録する
ジモティを使う
みんなの0円物件を活用する
etc...
なりふり構わず、両方のアプローチを活用して、広範囲に引き取り手を探されるケースがよく見られます。しかし、安心感の強い地元アプローチを数ヶ月試みてからwebアプローチに移行するなど、アプローチに順位をつけると動きが整理されおすすめです。
特にwebアプローチは、費用発生するものもあります。
あらかじめ、お調べいただくとよいでしょう。
どのようなアプローチをとり、どの方法を活用するかは、その人次第となりますので、ご自身にあった方法を試してください。
引き取り手が現れた場合には、正式に不動産売買契約を締結してください。不動産は個人間で安易に取引をするとトラブルを招きやすいので、しっかりと信頼のおける不動産会社に仲介に入ってもらってください。
もちろんその際には仲介手数料が発生してしまいますが、必要経費としてあらかじめご認識いただき、計画を立てられることを推奨いたします。
5.六連コンサルティングによるサポート
六連コンサルティングでは、あなたの負動産の処分をお手伝いするサービスをご用意しています。
これまでに2つのアプローチ、いくつかの方法をお伝えしましたが、私たちはまず「地元アプローチ×近隣者への手紙」に取り組むべきだと考えています。
それは、次のようなことが考えられるからです。
希望物件を安く!とは思っていても、積極的に探しているわけではない
探していたとしても、情報源は大手ポータルサイトがメイン
(負動産は不動産会社が取り扱ってくれない=負動産は大手ポータルサイトには掲載できない)
つまり、近隣者へ情報を届ける方法は限られます。
そして、地元アプローチのターゲットとなる近隣者は、遠方地の人よりも購入を決める理由が多く存在するのが一般的です。
例えば、
子どもには近くに住んでもらいたい
子どもや孫、お客さんがきたときの宿泊場所をつくりたい
家の近くでお店を開ける場所がほしかった
趣味などに自由に使える場所がほしい
物置きや資材置き場として利用したい
隣の土地だったら買いたい
家庭菜園ができる場所を探していた
駐車場が手狭になっていた
ほんの一例を挙げましたが、
近くであればあるほど、投資目的ではなく利用目的が優先となるのです。
利用目的が叶う物件が、近くで安く手に入るとしたらあなたならどうしますか?
六連コンサルティングでは、「地元アプローチ×近隣者への手紙」に焦点を当て、
「手紙郵送サポート」を提供しています。
このサービスでは、各種物件資料を同封し、あなたの物件売却の意思を近隣者へ届けます。
手紙を送ろうにも、意外と費用と手間がかかってしまうものです。
しかし、近隣者へのアプローチを先延ばしにする選択はありませんので、ぜひご検討ください。
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